DESIGNER TALES
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本当は公開初日初回で観てきてたんですが、
深い内容だっただけに書き下ろし原作を読んでから何か書こうと。。。
しかし、ぜーんぜん原作が届かない!(頼むよ、密林さん。。。)
ので、ひとまず映画観てだけの感想です。

「かもめ食堂」「めがね」と続く、言ってしまえば、”いやし”3部作。。。
でも前情報をあまり入れないようにしていたので、普通にそのつもりで
ユルくかまえて劇場に行った。
ファンとしては、この日を待ってた、という感じで。。。

だけど今回は少し違った。
基本的な作りは確かに踏襲しているような部分も多いし、飯島さんの料理が
見所なのも(ホントに毎回ウマそうで困る)同じ。
でも、見終わった後にどうしようもなく、寂しいという気持ちで一杯になり、
涙がワケもなく出て仕方ないのだ。

前2作に増して、いや比べ物にならない程の台詞の少なさ。
説明的なシーンの少なさ。
だから更に、こちらは色々と考えることになる。

また頭の中で、僕がまだ二十歳そこそこの頃にノラネコから聞いた言葉が
繰り返される。
「持つことは怖いよ。持たないことは、怖くないよ」

実の娘、母親でありながら、分かり合えない二人。
普通に一緒に暮らし育ちたかった娘、自分の心の赴くままに生き、
結果、家族を置いてタイでゲストハウスを営む母。

でも娘は休みを利用して母に逢いには来る(来れる)。
そしてシビアな部分に会話が及び言い合いになったとしても、
目の前の料理に対して「おいしい」という気持ちはストレートに共有する。
娘の積年の想いをぶつけられても、決して後悔はしない母。
しかし、そんな娘のためにストールに刺繍を施す。

自分のことは放ったらかしのクセに、タイで身寄りのない子供の面倒を
一生懸命に見ている母に対し娘は反抗するが、そのために取った行動を
素直にすぐ反省する。
母はその少年に娘の話をしょっちゅうしていたらしい。
少年は彼女に逢えることを楽しみにしていたという。
そして屈託なく話しかけ、彼女のために花を摘む。

そう、母は娘を決して「外した」わけではないのだ。
ただ少し、普通ではないだけだ。

普通って何だ?

普通ではないことで色々な問題は。。。描かれはしないが、あっただろう。
これからもあるだろう。
でも母は娘に言う。
自分が彼女を信じている気持ちを、大したことでもないようにだ。

その表現方法は理解し合えない。
でも、娘は母を、母は娘を愛している。

言葉は少ない。でも感じられることは大きい。
だから娘は、母のいるタイと周囲の人々を、静かに自分の中で受け入れ、
そしてまた自分自身の毎日へと帰って行く。

周囲の人々。。。
ゲストハウスで働く日本人青年。
彼は彼女たちの関係をうらやましいと言う。
微笑ましく思い、彼なりに二人を、見守る。

そしてゲストハウスのオーナーであるキクコさん。
一連の作品のファンとしてはたまらない人物、もたいまさこさんが演ずる。

かもめでは、荷物が行方不明になり途方に暮れる旅行者、
めがねでは、春になると現れる小豆の妖精(冗談だけど、まさにそんな感じ)。
そして今回のキクコさんも、全てを暖かく見つめ、包み込む存在。
そう、ずっとずっとマサコ、サクラ、キクコと名は変われど、
彼女は全てを見届け、受け止める存在として登場する。

しかし今回、彼女は「余命」という現実を抱える者として登場する。
「私、死ぬ気がしなくって」
その一言で、観客は色々なことを悟る。
どうしようもない気持ちになる。

大好きな人、かけがえのないものに訪れる終わり。
分かっていても、どうしようもなくツラいのだ。

僕はその辛さに耐えきれず、何かとその「数」を減らそうとしてきた。
そう想う対象をゼロにすることはできないけれど、
そう何度も何度も、そんな目に遭うのは耐えきれない。

だけどそれは生きている間の時間と引き換えだ。
孤独との戦い、それはそれで辛いこと。
その折り合いがつけられない。
きっと最期まで、付けられない。

大切な人々を見守り、深く愛すること。
カタチはどうでも、その方法は分かり合えなくとも、
根っこのタマシイの部分を愛すること。
一歩も動けなくなるぐらい怖いことだが、必要なこと。

考えないようにしていたそのことを、またほっくり返された。
持つことは怖いが、何も持たず生きることはできない。

あの人々のように、それを何でもないことのように
自然に受け入れ、そして見送ることができたら。
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