DESIGNER TALES
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JASHUMON
昨晩、いつもの店のマスターから聞いた。
国立の邪宗門の門主が亡くなり、店も閉まってしまったと。。。

亡くなったのは12/5、そして21日を最後に店も。
さらにその少し前にママさんが亡くなったことも、
僕は全く知りませんでした。

。。。というか、あの店が無くなるなんて思いもしなかった。

確かに......大正10年生まれというお歳を考えてしまえば、
そして自分が居なくなったら店は閉めると前から仰ってたらしいし
いずれ来るその日が来てしまった、ということなんだけれど、
でも、それでも考えもしなかった。



僕が邪宗門を知ったのは高校生の時。
僕が通っていた高校は、邪宗門から15分弱ぐらい歩いた場所にあった。

出来損ないの学生だったので、興味がない授業の時は、
学校の半地下にあるコオロギが鳴くカビ臭い図書館にこもって、
澁澤龍彦やら江戸川乱歩や夢野久作やらの暗黒世界に浸るか、
この邪宗門に“避難”する。

しばらくして授業としての英語に生意気ながら失望し(^_^;
放課後に駅前の英会話学校に通い始めてからは、
授業が始まるまでの時間調整で週に2回、夕方に行くようになった。

高校を卒業しても、国立という街と邪宗門から離れるのが嫌で、
高田馬場にある専門学校に行くようになってからも、
八丁堀の雑誌編集部でのバイト生活を開始しても、
同じ英会話学校に通い続けることで、週2の邪宗門通いはしばらく続いた。


それでも、ホントの最初に店のドアを開けるまでは少し時間がかかった。
なんせ、外観からして特徴的で、中がどうなってるのか全く分からない。
いくら制服がない学校で私服だったとはいえ、気が引ける。
この時点で、歴史的名店であることは知らなかった。
ただ、絶対自分はココが好きだろう的な予感だけがあって、
ドアの前まで行って引き返すこと2~3回。
ある夕方、勇気を振り絞ってカランと開けると、
そこには夢のような世界が広がっていて、一気に圧倒された。

薄暗く狭い店内、これまた所狭しと埋め尽くされた骨董品の数々、
天井から下がる夥しい数のランプ。
そして、その門主、マスターである名和さんの優しい笑顔。
(こんな格好いいおじぃちゃんがやってるんだ!!)と、
そんな風に思った事も良く覚えているな。。。

お歳のわりの長身にスラッとしたスタイル、くわえたパイプ。
オレンジ色の長髪、オシャレな出で立ち、柔らかい人柄。
素晴らしくインパクトのある人物だった。素敵すぎた。
彼が船乗りだったことや、奇術師であることなんかは後から知った。

当時は入口すぐ横の小さな窓際の席か、奥のカラスの腐乱死体の
エッチングの下の席がお気に入りだった。

マスターや店からは色んなことを教わった。
シャンソンにハマり、並びにある中古屋で古い曲を漁るようになった。
天野可淡さんの作品を見て大衝撃を受けて球体間接人形の世界を知った。
ある日かかっていた曲を聞いて感動し、マスターに聞くと、
「あなたが生まれてない頃の曲ですよ」と笑いながら
トム・ウェイツを教えてくれた。
不覚にも泣いてしまった曲は、マドレデウスのOmarだと教えてくれた。
それから...タバコも覚えた(笑)。
(店内には“全面喫煙”というシャレたサインが下がっていた)

デザインの世界に足を突っ込み忙しい生活になってしまってからは
どうしても国立から足が遠のいた。
でもこの街は、僕にとって思い入れの強い思い出の多い場所であって、
しかも電車に20分も乗れば辿り着くことができる。
それからは、休日に立川へ買物をしにいった帰りに足を伸ばしたり、
年に一度の大きなお祭りやイベントの時は必ず行くようにしていた。

そのうち営業時間が短くなったり、行ってもマスターの姿がなく
カウンターには同じくステキなママさんの姿か、
ママさんもいなくて若いお兄さんがいたりして、
僕なりに心配になることが増えていった気がする。
でも、その次には変わらぬ姿でいてくれて、ホッとした。
長身のせいで屈むようにしながらカウンターの向こうで微笑んでくれた。



最後に僕が邪宗門に行ったのは去年11月のこと。
マスターは客席に座ってノンビリしながら「いらっしゃい」と迎えてくれた。
相変わらずのオシャレで、元気そう。
頻繁に通わなくなってから10年も経ってしまっているのに、
いつも孫を見るような柔らかい表情と声で接してくれて嬉しい。

「マスター、元気そうで良かったね」なんて、一緒に行った人と話しながら、
座れた一番好きな席で、アイスコーヒーとレアチーズケーキで
ゆっくりとタバコをふかしてシャンソンを聞きながら。。。
「ママさんいないね」なんて話もしたけれど、
まさかその時点で彼女がこの世にもういなかったなんて思いもせず。。。

「ごちそうさま~」って言うといつも「どうも~」って笑ってくれる。
そして続いて「またどうぞ~」って言ってくれるのも一緒。
一緒に行った人は、そんなマスターの所に引き返し、
「どうぞ、ずっとお元気でいてくださいね」って声をかけた。
昨晩、訃報を知らせると
「あの時、なんかそう声をかけなきゃいけない気がして...」とのこと。

結局、それが僕にとっては最後になってしまった。



昨晩、それを聞いた時は本当に驚くばかりだったけど、
今日になってネットで調べていたら、実感が込み上げてきた。
ネットを調べていたら、最後、店内にあったお知らせの文章が読めた。

 勝手ながら、もし皆様の記憶の片隅に、
 当店また当店門主夫妻の事を留め置いて頂ければ幸いです。
 本当にありがとうございました。

それはそう、結ばれていた。
大好きな人たちと大好きな場所を一気に失ったことは、本当に辛い。
でもこの伝説の店のことは、多くの人の中にずっと残るだろうし、
話は語り継がれるのだろうと思う。

名和さん、ママさん。
本当に長い間、お疲れさまでした。ありがとうございました。

コメント
この記事へのコメント
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2009/01/15(木) 07:29:15 | | #[ 編集]
Re: ショックだな。。。。
> (この前入れたお返事を消してしまったようです...泣)
>
> あれから、店での色々なことを思い出す日々でした。
> なんかまだ、なくなってしまったことに実感持てず。
> 国立にも、消えた後を見るのが辛いと思い、
> 足が向かなくなってしまいました。。。
2009/02/10(火) 17:16:45 | URL | LuLu #-[ 編集]
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