DESIGNER TALES
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STORY「36.6℃ -Hollandpark-』3 トラファルガー・スクエア。
 一日中あてもなく歩き続けた。目に入った美術館に片っぱしから入り、足が痛くなればカフェに入り込み、本を何冊か買い、そして夕方になる頃には結局、いつものトラファルガー・スクエアに出ていた。空が広い、いろんな人の笑顔が山ほど集まる広場。私は運良く一匹だけ先客がいなかったライオンの上によじ登り、そのまま仰向けになった。

 なにやってんだろな、オマエ。
 自分で自分に言ってみる。物語の結末はハッピーエンドを迎えたハズだ。全て失った自分は、また守るべき、そして守ってくれる人を見つけることができたんだ。そして幸せになってほしかったあの人の元にも、もうすぐ、それがやってくる。
 別に、他を探したって何も問題はないじゃないか。

 速いスピードで流れる雲を目で追いながら、徐々に微睡んでくる。雲は金色。そろそろ陽が落ちかかってくるだろう。夜になってもこのままここで寝ていたら、さすがにどっかの警備員とかボビーが来て怒られるかな、そんなことないかな、どうなんだろうな。夜になってもここは人も車も多くて賑やかだけど、ホントの深夜になったらどんな感じかな。
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STORY「36.6℃ -Hollandpark-』2 朝。
  厚みのある細かい花柄のカーテンの僅かな隙間から力のない光がやっと差し込んでくるのをさっきからずっと見ていた。喉が乾き、キッチンに立ちたいと数分前から何度も思っているのだが、さっき一度身体を起こそうとした時に右肘が痛んで、それから全身の力が抜けてしまっていてうまくいかない。それに、全身を包んでいるこの温かさも正直言って捨てがたい。その温かさの主であるジンは深く眠り込んでいて、穏やかで一定な寝息を立てている。

「んー......」
 ジンが微かに目を覚ます。
「起こした?」
「んんー。......朝?」
「らしい」
「何時?」
「わかんない」
 と、ちょっとした間があって、その間ジンは私をじっと見つめていた。
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STORY「36.6℃ -Hollandpark-』1 暗い部屋で一人。
 一人きりになった暗い部屋、冷たいベッドの上で、私はあの日と同じことを考えていた。

これから先、私に起こること、ジンに起きること、そして三日月に起こること。全ては運命のまま、誰もまだ知らない、運命のままにー

 今、ジンが横にいてくれれば、私はどんな答えを出しているだろう。でも私は今夜、一人でいることを選んだ。
 まだ開けていないトランク、整理していないいくつかのバッグ。着替えてもいない自分。
 数ヶ月前に降り立ったロンドンから東京に戻った今日まで、あの日々は、私にどのような決断をさせるのだろう。
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